精密根管治療

根管治療とは

「歯の根の中」にアプローチする精密な治療

歯の根の中には神経・血管が入っている細い管「根管(こんかん)」があります。虫歯による細菌感染が根管にまで及ぶと酷い痛みや腫れが生じてしまうため、根管をきれいに掃除して感染物質を除去する「根管治療」が必要になります。
歯の根(根管)は、歯を支える土台=基礎です。どんなに立派な建物でも基礎がしっかりしていなければすぐに崩壊するように、歯も土台である歯根がしっかりしていなければ、立派な被せ物を作ったとしてもすぐに外れたり、壊れてしまいます。
土台=根管をしっかり整えるために根管治療は大切ですが、小さい歯の中のさらに奥にアプローチする必要があるため、とても難易度が高いです。

根管治療の成功率

日本の根管治療成功率はかなり低い

虫歯が進行すると、歯の内部(根管)で細菌が繁殖します。根管治療はその細菌を取り除き歯を長持ちさせる重要な治療ですが、前述したように非常に難易度が高く、その失敗は“再発・再治療”を意味します。歯の寿命に直結するにも関わらず、残念ながら日本における成功率は50%と報告されています。
しかし、アメリカでの成功率は95%と、ほとんどのケースで成功しています。日本の根管治療の成功率は先進国中最低であり、さらにアジア諸国の中でも遅れをとっていると言われています。

当院で行う世界基準の精密根管治療のポイント

01.日本歯内療法学会専門医による治療

根管治療は技術的に非常に難しいため、成功率の高いアメリカやアジア諸国では一般の歯科医師は対応せず、専門医のみが根管治療を行っています。
誰でも専門医を名乗れるわけではなく、学会の認定を受ける必要があります。
当院の院長は全国で約226名、兵庫ではたった4名(※2022年1月時点)しかいない日本歯内療法学会の専門医です。
さらに、大阪大学の保存科(根管治療専門の科)にて臨床教官を務めていますので、安心して根管治療を受けていただけます。

02.歯科用CTによる3次元的診断

根管の本数・形は人それぞれ違います。
当院の精密根管治療では、歯科用3D(立体)デジタルCTを用いて診断・治療の正確性を高めています。
一般的なレントゲン撮影では確認できない歯の状態・骨の中の様子・歯の神経の位置関係といった診断に基づき、患者さまの歯をできる限り多く残せるように努めています。

03.マイクロスコープによる精密治療

マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を用いると視野が拡大できるので、手探りではなく、目で見ながら正確に治療することが可能になります。そのため、アメリカにおける根管治療では設置が義務付けられていますが、日本においてはまだ普及途中です。
当院ではより精度の高い根管治療を提供するために、視野を19.4倍に拡大するマイクロスコープを使用して治療を行っています。

04.再感染を防ぐラバーダム防湿

虫歯の細菌は、唾液中の常在菌です。そのため、根管治療中に患部に唾液が入ると、せっかくキレイにしたところが再感染してしまいます。唾液の流入を避けるために、当院ではゴム製のシートで治療する歯の周りを防湿する「ラバーダム防湿」を必ず行っています。
根管処置時のラバーダム装着については日本歯内療法学会や米国歯内療法学会のガイドラインでも“必須”と明記されており、アメリカではラバーダム防湿をしていなければ訴訟に負けるなどの理由から使用率は90%以上ですが、日本ではラバーダム防湿に対する保険点数が無く、一般歯科医院での使用率は5.4%と報告されています。

05.根管に合わせたニッケルチタンファイル

柔軟性の高いニッケルチタンファイルを使用根管治療では根管内の汚染された歯の組織の除去を行うために、「ファイル」という治療器具を使用します。
日本ではステンレススチールファイルが一般的ですが、柔軟性に欠けるので根管を傷つけてしまうことがあります。
根管の太さ・曲がり具合は人それぞれ異なるため、当院の精密根管治療では、柔軟性の高いニッケルチタンファイル数種類から、治療する歯に適切な組み合わせをオーダーメイドします。

06.バイオセラミックスを応用した根管充填(MTAセメント)

「進行した虫歯(神経に感染)」の感染組織を除去「バイオセラミックス+補綴(神経を残し封鎖)根管治療によって細菌は減りますが、ゼロにはなりません。そのため、極力減らした細菌が増殖しないよう、組織を除去した部分は充填材で密封します。しかし、日本で一般的に用いられる充填材は硬化時に収縮してしまい、空いたスペースに細菌が増殖してしまうことがあります。
当院では精密根管治療において再発を防止するために、硬化時に膨張することで密封性が上がり、高い殺菌作用を持つことから世界標準で使用されている、“バイオセラミックス(生体機能を代行するセラミックス)”を応用した充填材「MTAセメント」を採用しています。

通院回数が短い

一般的な根管治療は一度で根管内がキレイになることは少なく治療終了まで1〜3ヶ月程度かかることも。封鎖性と殺菌性に優れたMTAセメントで治療回数は短くなります。

歯の寿命が延びる

優れた封鎖性・殺菌性で歯の神経が残せる可能性が高いだけでなく、MTAセメントには周辺の歯質の再生を促進させる成分が含まれているため、歯の寿命は長くなります。

再発リスクが低い

MTAセメントには殺菌効果があり、さらに充填後に膨張しながら硬化するため細菌が侵入する隙間ができず、二次カリエス(虫歯の再発)のリスクが低いです。

07.少ない治療回数による効果の最大化

根管治療は治療準備に時間がかかります。
治療回数が増えるほど毎回その手間がかかり、治療の進みが遅くなります。
それに加え、仮蓋を開けたり閉めたりする回数は増えれば増えるほど、唾液が入り再感染する確率も上がります。
当院の精密根管治療では、歯の状態に応じて治療時間を30〜90分でコントロールすることで、治療回数の最小化と治療効果の最大化を図ります。

精密根管治療の流れ

01前処置・検査

根管治療に取りかかる前に、歯周病や見える範囲でのひび割れの有無の確認、歯科用CTやレントゲンによる検査を行います。
必要に応じ、被せものや虫歯の除去/歯質がなくなったところから唾液が入らないように壁(隔壁)をつくるなどの処置を行い、環境を整えていきます。
同時に、治療期間中の審美性確保や歯列崩壊を防ぐための仮歯(TEK)も製作していきます。

02診断・コンサルティング

前回の検査結果をもとに、治療方針および根管治療の費用・期間について説明いたします。現在の歯や歯根がどんな状態なのか、神経を抜かずに済むのか、わかりやすくお伝えしますので、不明点・疑問点は気兼ねなくご質問ください。
ご理解・ご納得いただいた上で、治療を進めていきます。

03根管治療開始

細菌の侵入を防ぐために治療対象歯のみを露出させるゴム状シート「ラバーダム」を装着したら、根管を露出させるために歯を削り、細菌感染した歯髄(神経や血管)や歯根の先に溜まった膿などを取り除いていきます。
汚染物質や膿が取り除けたら複雑な形をしている歯の根の中を整え、隅々まで消毒液を入れて蓋をします。
この処置を、しっかり消毒できるまで繰り返し行います。ケースにより前後する可能性がありますが、基本的に2〜3回程度です。

04根管充填

神経がなくなった歯は再感染のリスクが高く、管の中に空気が入ってしまうと痛みを感じるため、消毒後の根管は充填材(薬剤)を入れて密封し、細菌や空気の入る余地を減らします。
当院では、細菌が侵入する隙間ができにくい優れた封鎖性・殺菌性を持つ「MTAセメント」を充填材として使用し、再発リスクを抑えています。

05レントゲンで確認

充填材を入れた後、レントゲン撮影をして歯の根の先までしっかり入っているかを確認します。
隙間なくぴったりと薬剤が入っていないと痛みや再感染の原因となるため、場合によっては再度入れ直すこともあります。

06被せ物の装着

レントゲン撮影により、歯の根の中に充填材がしっかり入っていることが確認できましたら、土台となるコアを入れ、被せ物(クラウン)を装着します。
ここで根管治療は終了になります。

07メインテナンス

残った歯とお口の健康状態を守るために、ご自宅での毎日のケアはもちろんですが、定期的にご来院ください。
歯科医師によるメインテナンス、歯科衛生士によるクリーニングを定期的に受けて、お口の健康維持をしましょう。